看取りについて(クリニック見学①)
超高齢化社会が到来しており、看取りのあるべき姿について我々は再度考える時期にきています。平成初期から比べると、2040年には年間死亡数が2倍近くになります。
日本の人口あたりの病床数は世界一であり、8割近くの方が病院で最期を迎えます。これは他国と比較しても圧倒的に高い割合です。実は6割近くの人は最期は自宅で療養したい希望がありますが、最期まで自宅で過ごすことは困難であると思っている方が多いという事実があります。
自宅で最期の時間を過ごしたい希望はあるけれども、体制の不十分さ、様々な不安、家族への負担などを理由に最期まで自宅で過ごせないのではないかと思っているのです。さらには人生最期の段階について話し合ったことがない人が5割以上います。
超高齢化社会を迎える日本において、在宅医療・訪問診療・緩和ケアに携わる我々ができることは、ご自宅で最期を迎えたいという希望のあるご本人・ご家族の不安を取り除き、チームでしっかりとサポートできる体制を整えることです。
我々は適切な医療情報を提供し、それを基に十分に話し合い、ご本人の意思決定を行うことができるようにサポートする必要があります。ご自宅で最期を迎えることの障壁が我々の医療・介護のサポートによって取り除かれ、ご本人の望むような穏やかな最期を迎えることができるようにサポートしたいと考えています。
特に癌により最期を迎える場合は、苦痛に対する不安が強いと思います。適切な薬剤・麻薬の使用や緩和ケアについての情報をしっかりと共有し、ご希望に応じた過ごし方ができるようにサポートいたします。
先日、三重県四日市市で活動しておられる「いしが在宅ケアクリニック」様で見学をさせて頂きました。
西日本では1番の在宅看取りを実践されているクリニックであり、多くのことを学ぶことができました。
見学中に見せて頂いた写真では、最期の段階にも関わらず家族みんなが笑顔で写っている写真が多くありました。その中でも特に印象に残ったのは、患者さんのお孫さん達の笑顔の写真です。まだ小さい子供でも積極的に自分の家族の最期に向き合い、いろいろな手助けをしながら一緒に残された時間を共有できておりました。このように笑顔のある最期の段階を実現できているのは、「いしが在宅ケアクリニック」様がご本人様、ご家族様との信頼関係を築きながら、様々な不安や苦痛を取り除くことができている証拠だと思います。最期の段階をご自宅で愛する家族と一緒に過ごすことができるのは幸せなことなのではないでしょうか。
見学を受け入れて頂いた「いしが在宅ケアクリニック」様には心より感謝申し上げます。
当院もご本人・ご家族の不安を取り除き、ご希望に沿った穏やかな最期を過ごすことができるように、しっかりとチームでサポートしていきたいと考えています。
明石、神戸(垂水区、須磨区、西区)で訪問診療・在宅医療・緩和ケア・往診ができるよう準備をしています。
ささえ在宅クリニック 院長 高山弘志