胃瘻と誤嚥性肺炎、胃瘻交換
在宅医療を行っている患者さんの中には誤嚥性肺炎を繰り返してしまい困っている方も多いと思います。消化器内科医としてよく受ける相談の一つに、誤嚥性肺炎を防ぐために胃瘻を作って欲しいというものがあります。誤嚥性肺炎を繰り返す人に対して本当に胃瘻を作ることが解決策になるのでしょうか。
いろいろな文献を確認したところ、胃瘻を作成した状態でも結局は誤嚥性肺炎は起こっており、誤嚥性肺炎のリスクを下げたり、長期予後を改善する高いエビデンスがあるわけではなさそうです。これは我々の経験とも合致するのではないでしょうか。少なくとも誤嚥性肺炎を予防する目的で胃瘻を作成することには慎重になった方が良いかもしれません。
参考文献:
・Gomes CA Jr, Andriolo RB, Bennett C, Lustosa SA, Matos D, Waisberg DR, Waisberg J. Percutaneous endoscopic gastrostomy versus nasogastric tube feeding for adults with swallowing disturbances. Cochrane Database Syst Rev. 2015 May 22;2015(5):CD008096.
・Onur OE, Onur E, Guneysel O, Akoglu H, Denizbasi A, Demir H. Endoscopic gastrostomy, nasojejunal and oral feeding comparison in aspiration pneumonia patients. J Res Med Sci. 2013 Dec;18(12):1097-102.
また、食事ができないから胃瘻をつくるという状況はいかがでしょうか。
様々なご病気、嚥下機能の低下などから胃瘻増設を希望される方がいらっしゃいます。
これはご本人様の人生観や終末期の在り方についての問題でもありますので、ご本人様の意思が最優先されるべきだと考えております。
侵襲的な医療を行う際に我々医療者がすべきことは、その治療についての情報を正確にお伝えすることではないかと考えております。その治療のメリット・デメリットを正確にお伝えし、ご本人様が納得のいく判断ができるような情報提供を心がけております。
終末期では様々な選択をしなければならないことがありますが、ご本人様、ご家族様、医療スタッフの皆様と十分に相談しながら、納得のいく決断ができるようにサポートいたしますのでご安心ください。
また訪問診療を受けておられる患者様は、病院での胃瘻交換はご負担になるかと思います。ご希望があればご自宅での交換(バンパー型、バルーン型)も対応させて頂きますのでお伝えください。
明石、神戸(垂水区、須磨区、西区)で訪問診療・在宅医療・緩和ケア・往診ができるよう準備をしています。
ささえ在宅クリニック 院長 高山弘志