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早期消化管癌に対しての新規内視鏡治療①

[2024.04.16]

私はこれまで早期消化管癌に対しての内視鏡治療を中心に行ってきました。

そもそも消化器内科を自分の専門として選んだ理由は癌の患者さんを救いたいという思いが強かったからです。

内視鏡治療で早期のうちに癌の治療ができれば救われる人が多いのではないかという考えがあり、内視鏡治療に本気で取り組んできました。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は20年程前に日本で生まれた早期癌に対しての根治治療です。日本が世界をリードしてきた分野でもあります。

胃癌に始まり、食道癌、大腸癌、咽頭癌、十二指腸癌に至るまで広く普及してきましたが、まだ困難症例に対する成功率は低いままです。

これらに対しての新たな解決策を提唱するために、私が開発した方法を紹介いたします。

 

内視鏡的粘膜下層は水平方向に出てくるナイフで癌を剥離する方法のため、垂直方向になってしまうと途端に穿孔リスクが高くなってしまいます。

ナイフが垂直方向になってしまう部位は盲腸です。盲腸は筋層の薄い部位でもあり、盲腸癌に対してのESDは高難易度として知られています。

これに対してより安全にそして効率的にESDを行うことができるように、Circumferential-inversion method (CIM)という方法を開発しました。

 

Endoscopic submucosal dissection for a large cecal lesion using the circumferential-inversion method

ゴムリングと4つのクリップを使用することによって病変を内反させてしまうことにより、全周性からのナイフのアプローチを可能にしました。

病変を引っ張ることで内視鏡治療を可能にする方法はこれまでもありましたが、全周性に内反させることであらゆる方向からの剥離を可能にしました。これにより盲腸のような垂直となる病変に対しても安全で効率的に内視鏡治療を行うことで、外科治療を避けた根治切除が可能となります。

この方法を応用することによってさらなる困難症例に対しての対応を目指した手法も後日紹介いたします。

 

参考文献

Takayama H, Toyonaga T, Kodama Y. Endoscopic submucosal dissection for a large cecal lesion using the circumferential-inversion method. Dig Endosc. 2023 Nov;35(7):e138-e139.

 

明石、神戸(垂水区、須磨区、西区)での在宅医療・訪問診療・緩和ケア・往診

ささえ在宅クリニック 高山弘志

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