早期消化管癌に対しての新規内視鏡治療②
癌治療において早期発見、早期治療は最も大事なことであり、この段階に全力を尽くす必要がありますが、必ずしもこの段階で見つかるわけではありません。
消化器内科医として働いていると、末期癌となってしまった方を診療する機会も多くあります。人生最期をご自宅で過ごすことができるようにするためには、在宅における緩和ケアが重要となります。少しでも多くの方がご自宅で医療を受けることができるようしっかりと準備していくつもりです。
さて、本日紹介する内容は前回の続きです。
早期消化管癌における困難症例に対しての解決策となる新規手法Circumferential-inversion method (CIM)を開発したことをお伝えしました。その後、さらなる困難症例である内視鏡治療後瘢痕上にできた癌に対する新たな治療法を開発しました。
Endoscopic submucosal dissection for severe fibrosis using a combined water pressure and circumferential-inversion method
一般的に瘢痕部位に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行うことは線維化により困難となります。特に大腸においては腸管壁が薄く、穿孔率が上がります。
しかし、前回紹介したCIMと水中でのESD(Water pressure ESD)を組み合わせることにより、瘢痕部位の粘膜下層にアプローチすることができるようになります。ゴムリングによる内反する力に加えて、水中での病変浮力が相乗効果となり、極めて困難な大腸での瘢痕部位へのナイフアプローチが可能となります。この手法をWP-CIMと命名し、大腸瘢痕症部位にできた癌への治療可能性を広げました。
参考文献:Takayama H, Takao T, Motomura D, Hori H, Morita Y, Toyonaga T, Kodama Y. Endoscopic submucosal dissection for severe fibrosis using a combined water pressure and circumferential-inversion method. Endoscopy. 2024 Dec;56(S 01):E35-E36. doi: 10.1055/a-2223-0405. Epub 2024 Jan 9.
次回はさらなる困難病変に対してのアプローチも可能とした手法を紹介いたします。
明石、神戸(垂水区、西区、須磨区)にて訪問診療・在宅医療・緩和ケア・往診を開始できるよう日々準備しております。
高山 弘志